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株式上場(IPO) 東京証券取引所の市場について

 東京証券取引所(以下「東証」といいます。)の市場について、①東証内の市場の種類、②東証内の各市場に昨年(2014年)上場した企業、③マザーズへのIT企業のIPOが多い理由(東証内の各市場の比較)を説明していきます。

東証内の市場の種類

 東証内には、第一部・第二部、マザーズ、JASDAQ、及びTOKYO PRO Marketの4つの市場区分があります。東証内の市場について、日本取引所グループのHPは、以下のように説明しています(①から④について※1、⑤について※2。)。

  • ①第一部:国内外を代表する大手企業が上場する市場
  • ②第二部:国内外を代表する中堅企業が上場する市場(第一部へのステップアップを視野に入れて上場する市場)
  • ③マザーズ:近い将来の第一部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場
  • JASDAQ:一定の事業規模と実績を有する成長企業や特色ある技術やビジネスモデルを有し、より将来の成長可能性に富んだ企業などの多様な企業が上場する市場
  • TOKYO PRO Market:日本の金融市場の活性化及び国際化を図ることを目的とした国内外のプロ投資家向けの市場

※1 http://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/mothers/index.html
※2
http://www.jpx.co.jp/equities/products/tpm/outline/index.html

東証内の各市場に昨年上場した企業

画像 東証内の各市場に昨年上場した企業

 東証内の各市場にはどのような企業が上場しているのでしょうか。

 昨年(2014年)に上場した企業の一部を見ていきますと、第一部には、西武ホールディングス、すかいらーく、リクルートホールディングスなどの有名企業が、第二部には、磯丸水産等の飲食店を経営するSFPダイニングなどの企業が上場しています。

  また、マザーズに上場した企業としては、オンライン英会話サービスの運営をしているレアジョブ、クラウドソーシングサービスの運営をしているクラウドワークスのほか、多数のIT企業があります。
  そして、JASDAQには、鳥貴族の運営をしている鳥貴族などの企業が、TOKYO PRO Marketには、博多帯の製造・販売をしている株式会社はかた匠工芸などの企業が上場しています。

マザーズへのIT企業のIPOが多い理由
(東証内の各市場の比較)

画像 マザーズへのIT企業のIPOが多い理由

 東証内の各市場に昨年(2014年に)上場した企業を見ていきますと、マザーズに多数のIT企業が上場していることが分かります。
  そこで、マザーズに多数のIT企業が上場している理由を考えるため、東証内の各市場を比較していきます。

 まず、TOKYO PRO Marketは、投資家が制限されており、必ずしも流動性が高いとはいえない市場であり、市場として選択されることが少ないため、第一部・第二部、マザーズ、及びJASDAQについて、比較することにします。

 上場審査基準(※3)の形式基準(上場申請要件)の内、株主数について見ていくと、第一部が2,200人以上、第二部が800人以上を求めているのに対し、マザーズ及びJASDAQは200人以上を求めているに留まり、マザーズ及びJASDAQの基準が第一部・第二部よりも低いことが分かります。
  また、流通株式数についていえば、第一部が20,000単位以上、第二部が4,000単位以上を求めているのに対し、マザーズは2,000単位以上を求めているに留まります。さらには、流通株式時価総額について見ていくと、第二部が10億円以上を求めているのに対し、マザーズ及びJASDAQは5億円以上を求めているに留まり、これらの事項についても、マザーズ及びJASDAQの基準が第一部・第二部よりも低いことが分かります。
  加えて、標準審査期間を比較してみると、第一部・第二部が3カ月であるのに対し、マザーズ及びJASDAQは2ヶ月と、マザーズ及びJASDAQの審査期間が第一部・第二部よりも短いことが分かります。

 このように、マザーズ及びJASDAQには、第一部・第二部と比べて、上場審査基準の低さ、審査期間の短さといったメリットがあります。
  そして、マザーズとJASDAQを比較してみると、第一部に市場変更する場合の時価総額について、マザーズは40億円以上で足りるのに対し、JASDAQは250億円以上が必要であり、マザーズがJASDAQよりも第一部に市場替えする際に優遇されていることが分かります。

 以上のように東証内の各市場について比較してみると、マザーズには、上場審査基準の低さ、審査期間の短さ、第一部に市場替えする際の優遇といったメリットがあるため、多数のIT企業がマザーズに上場しているものといえます。

 ※3 上場審査基準…上場申請を行うにあたって求められる要件である形式基準、及び上場会社として必要とされる5つの適格要件で構成される実質審査基準により、上場審査がなされます。

2015年6月 執筆:弁護士 小林幸平

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